アニメージュ(animage)

徳間書店、月刊誌


月刊誌のアニメージュは、スタジオジブリが属する徳間書店発行です。そのためスタジオジブリ情報は専売特許のように載っています。

ここでは、「耳をすませば」の特集が載った1995年3月号を紹介します。ページ数は16p足らずです。

他にも「耳をすませば」「近藤喜文」関連の記事が載ったアニメージュは沢山あるのですが、製作者が持っていないので割愛させていただきます。

スタジオジブリ最新作 近藤喜文監督・宮崎駿プロデュース

「耳をすませば」は現在を生きるボクらの物語だ 

「天空の城ラピュタ」「魔女の宅急便」は架空の世界を舞台にした等身大の少年少女の物語だった。一方、「紅の豚」や、「平成狸合戦ぽんぽこ」は現実に即した世界を舞台にしながらも主人公は空想の存在だった。そして、’95年夏。ジブリの最新作「耳をすませば」でじゃ現在(いま)を生きるボクらの物語が紡がれようとしている―。

(この後、場面集が載っています)

初夏の彩りをそえる純(ピュア)な少女の初恋

遠くを見つめる眼差しのすがすがしさ、人を愛するときめき、観るものの心に夏の日誰もが持っていたはずの憧れをかきたてたいという宮崎駿プロデューサーのはりつめた思いが、この「耳をすませば」の企画を生み出した。原作は「りぼん」で連載された柊あおいさんの同名マンガ。アニメ化の話を聞いた柊さんは、大の宮崎ファン。即OKという快い返事のもと、本作の製作が決定した。
スタジオジブリが少女マンガをそのように映像化するのか期待は大きい。

(人物紹介も一緒に載っています)

監督インタビュー◆近藤喜文:初監督作品を語る

「身長」「体重」「偏差値」では決められない少年・少女像を描きたい

「ちょうど「平成狸合戦ぽんぽこ」の製作に入っていた頃なんですけど、宮崎駿さんが原作のコミックスをもってやってきまして、「こういうの好きだろう」と。それで「ちょっと読んでみます」と受け取ったんですが、読後感がさわやかでいいんですね。それを宮崎さんに「すごくピュアな話ですね、気に入りました」と話したら、「よし、監督をやるのなら、コンテを描いてもいいよ」という話になりまして・・・。」

「痛快な少年群像をアニメ作品にしたい!とはずっと思っていて、宮崎さんにはときどき話してはいたんですけど、当の宮崎さんからは「おまえのやりたいのはNHKの中学生日記だろう。出てくる少年や少女がそれぞれ問題を抱えて、うつむいていたりする。そういうのがずいぶん多い」とか言われて(笑)僕もその度に「宮崎さんが思い込んでるような話ばかりじゃない!」といろいろ弁解したんですけれど、まだそのレッテルははがれてませんね。」

「作品のピュアな部分がいいな、と感心してしまうんです。何が新鮮かというと、登場人物たちが自分の気持ちを素直に表現していたところ。この原作では主人公が中学1年生なんですけど、将来のこととか進学問題とかを中学1年生なりに、友達と一緒にいろいろ考えるんですね。」

「例えば雫は、まだ進学もどうするか決めていない。なんとなく「物語」を書きたいとは思っていながらも、まだ書いたことがないので自信もなにもない。一方の少年のほうは、もう将来ヴァイオリン作りになると決めてイタリアまで修行に行く。彼女はまだそうとは言っていないけれども、なんとか彼をいっしょに歩いて行きたいと考えているのに、このままでは置いていかれるのではないかと不安になる。その不安を彼女が自分の力でどう解決していくかという話になった」

「当初、僕はこの雫なり、雫が想いを寄せる少年をフツーの男の子にしたかったんですが、宮崎さんの考えは絵コンテを描くに従い、違ってきた。途中から描くに値する理想の人物として雫や聖司を描き始めた。具体的には、雫が「物語」を書こうとするあたりからかな。やっぱり宮崎さんだなぁという感想を持ちましたね」

PDインタビュー◆宮崎駿:近藤喜文が描く女性キャラクター

雫は決して人に媚びない女の子なんです

「今回の映画化にあたって、原作では絵描きを志す少年、聖司を、ヴァイオリン職人を志す少年という設定に変えました。基本的にぼくは職人が好きなんです。モノと直接関わる、またはモノを作るという行為を通して世界を知るということは非常に大切なことだと思います。だからこの作品でも、自分の進むべき道をしっかりと見つめて、職人としての自分の才能を直視しながら未知の世界を切り開いてゆく、そんな少年の姿を描いてみたかったんです。それと今回の物語は、基本的にラブストーリーなんですが、人を好きになる、ということは人間にとって本来極めてシンプルな行為のはずです。したがって、まどろっこしい心理上の駆け引きや、煮え切らない心のうち、といったものを描く甘ったるい恋愛ドラマではなく、もっと素直に恋愛感情を表現をする、正々堂々とした、ラブロマンスを作りたかったんです。しかも、お互いに見詰め合ってウットリするだけじゃなくて、「同じ方向を見て一緒に歩いていこう」という少年と少女を描いてみたかったんです。」

前略、「耳をすませば」の現場から

「アニメーターってこんな感じっす」ということで、数人のアニメーター生活のインタビューが載っています。また、アニメーターの好きなキャラや、見ているアニメなどのアンケートも載っています。
・・・耳をすませばには直接関係ないため割愛させていただきます。

1998年4月号には「追悼・近藤喜文」の特集が組まれています。

「近藤喜文の見つめたもの」

98年1月21日に47歳で亡くなった名アニメーター近藤喜文さんの仕事の数々が載せられています。

柊あおいさんのコメントを載せます
「知っている方が亡くなってしまった時というのはいつもそうですが、やっぱりまだ信じられない気持ちです。のびやかな線の温かいあの絵が大好きでした。縁というのはなんと不思議なものでしょう。「赤毛のアン」でその絵に魅了されて以来、魅かれ続けてきた近藤氏に、「耳をすませば」を監督していただけるなんて。告別式で、「本当にどうもありがとうございました」と最後のお別れを致しました。今はただご遺族の方々が、何とか悲しみを乗り越えて下さることを祈るばかりです」

 

 


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